変更しやすい形式で資料のデータを提供する

学生の中には授業中に使用される投影資料や配付資料などの視覚情報(文字や図表など)を読み、理解することに困難さがある者もいます。資料の制作者(教員等)が資料を変更しやすい形式のデータで提供できれば、学生自身あるいは支援部署等がフォントや文字サイズ、背景色を変更したり、行間を調整するなどレイアウトを変更することができます。また、データであれば、PC端末などの読み上げ機能などを活用し、学生が「聞く」ことで内容を理解することもできます。

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配布資料等の印刷物におけるデータ提供(Word, PowerPoint)

授業等において紙媒体で配布する資料は、WordやPowerPointを使用して作成することがほとんどです。制作者は紙媒体の資料と併せてデータ版を提供できると良いでしょう。データがWordやPowerPointで作成されたものであれば、比較的簡単に文字のサイズやフォントを変更することができます。一方で、ファイルの拡張子がWordの「.docx」ではなく、「.jtd」といったWordと互換性がない「一太郎」等のワープロソフトで作成する場合もあります。このような場合はWordで開くことができない可能性があるため、制作者はテキストデータ(.txt)に変換し、提供する必要があります。

透明テキスト付きPDF

提供できるデータがWordやPowerPointではなく、PDFファイルのみの場合があります。PDFはフォント等を変更することができませんが、透明テキストといったテキストのデータが埋め込まれている場合、テキストを抽出することができます。抽出したテキストはWord等のワープロソフトに貼り付けることでフォントや文字の大きさを変更することができます。
透明テキストが付いているかを確認する方法は、Adobe Acrobat等のPDFリーダーでPDFを開き、マウスカーソルで文字を選択することで確認できます。文字の選択ができれば透明テキストが付いており、文字の選択ができない場合は、透明テキストが付いていないPDFになります。しかしながら、中にはテキストの選択が可能でも、クリップボードへのコピーができないPDFもあります。このようなPDFはファイルに制限が付いており、パスワードがなければテキストのコピーができません。このような制限を設定している場合は、制作者は制限を解除してからPDFを提供する必要があります。
一般的にWordやPowerPointで作成した文書をPDFに変換すると透明テキストが付いたPDFが作成されます。制作者がデータを提供する際は、フォント変更等の改変の可能性を念頭に置き、可能な限りWordやPowerPointの形で提供できると良いでしょう。
透明テキスト付きPDFについては、AT Column「透明テキスト付きPDFからテキストデータを作成する」も参考にしてください。

透明テキストがついていないPDF

提供するPDFの中には、透明テキストが付いていないものもあります。例えば、古い書籍をスキャンした画像のPDFなどは透明テキストが付いていないことが多いです。そういった場合はOCRソフトを活用して、画像をテキストデータ化していきます。OCRは誤認識もありますが、画像の状態が良ければ(文字が鮮明であれば)、少ない校正作業で改変しやすいテキストデータを得ることができます。OCRについては、AT Column「OCRソフトを使って書籍など印刷された資料のテキストデータを作成する」も併せて参考にしてください。

データ提供の注意点

  • 図表など文字以外の情報については、音声読み上げ機能では対応ができないことに留意しておく必要があります。図表には予めキャプションや説明テキストを付けておくなどの工夫をしておくとよいでしょう。
  • ユーザー側としては、制作者から資料のデータ提供を受けた際、取り扱いに十分注意する必要があります。データという特性上、複製や改変が容易になるため、著作権上の懸念から制作者がデータ提供に消極的になることがあります。制作者に対して利用目的をしっかりと説明し、制作者と利用の範囲やデータの取り扱いについて十分にすり合わせを行っておくことが重要です。

公開日:2023年12月27日

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