機構長挨拶

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髙倉 喜信

学生総合支援機構 機構長

ごあいさつ
学生総合支援機構の設立にあたって

2022年4月1日に学生支援の新たなプラットフォームとして新設された学生総合支援機構が活動を開始し、2年目を迎えた2023年8月に、学生総合支援機構に大変、喜ばしい知らせが届きました。障害学生支援部門が2023年度の「障害者雇用優良事業所等京都府知事表彰」に選ばれたのです。障害学生支援部門では、障害のある学生への修学支援に加えて、学内外の関連機関や企業等と連携した社会移行支援にも取り組んできました。また、障害学生支援における全国的なプラッフォフォーム形成に関するプロジェクト(HEAP)を行ってきました。今回、こうしたことが評価され、表彰の対象として選ばれたのです。なお、大学の障害学生支援に関わる部署が表彰されるのは初めてのことだそうです。この受彰は、本学の障害学生支援の質の高さや活動の先見性を示すものであるとともに、障害学生支援部門のスタッフの皆さんの日頃の地道な努力の賜物であると言えるでしょう。決して十分な人員配置ではない中での今回の受彰に際して、あらためて現場を支えている職員の貢献を誇りに思います。

さて、冒頭に述べましたように、学生総合支援機構は、以前の学生総合支援センターの機能を再編・移行するとともに、環境安全保健機構等の一部機能を統合し、新たな組織として2022年度に設置されたものです。本機構には、学生相談部門および障害学生支援部門の2つの部門を設置して広範な学生支援活動を行っています。

障害学生支援部門は、2008年に専門の部署を設置して以来、学内の各部局との連携を基盤に本学の障害のある学生への修学支援(主に教育・研究上の合理的配慮等)を実施してきましたが、機構発足後は、その機能をより効果的・安定的に維持することができる支援体制を構築し、障害のある学生の権利保障に向けた活動を行っています。2016年から施行されている障害者差別解消法への全学的な対応は特に重要ですが、コロナ禍におきましても各部局と連携しながらこれを確実に実行できるよう鋭意取り組んできました。また教育・研究機関としての普遍的な価値と役割を障害の有無にかかわらず確保することを牽引し、様々な関連リソース(社会的障壁の解消に資する資源)の確保・提供、及び教職員等に対する全学的な啓発・教育も行っています。さらに、このような障害学生支援の機能を学内のインフラ的機能のひとつとして位置づけるために、支援体制の適正化・安定化に向けた改善に継続的に取り組んでいます。

学生相談部門では、各キャンパス(吉田キャンパス3ヵ所(本部構内、吉田南構内、北部構内)、桂キャンパス、宇治キャンパス)に、教員および職員のスタッフで構成する相談室を設置し、心身の健康、キャリア、教務に係る相談を一元的に実施しています。これまで国際教育交流課に置かれていた留学生相談室も学生相談部門に含め、従来の相談体制を強化して相談を行っています。これらの相談室では学生のための多様なグループ活動や、ストレス・マネジメントのための啓発的なセミナーなど、個別の相談以外の活動も行っています。また、学生相談部門の精神科医とカウセラーは、学生への対応について教職員に対するコンサルテーション活動にも取り組んでいます。学生相談部門には、統括相談室を設置して、各相談室で対応が難しい事案への対処、精神科の医療機関への紹介、メンタル不調により休学した学生の復学時面談、学生相談・支援に係る研修・講習の企画立案等の啓発活動等を行っています。2020年からCOVID-19が約3年間に渡って世界中で猛威を振るい学生の大学生活にも多大な影響を及ぼし、相談件数が増加すると共に相談内容がより複雑化していました。2022年度の学生相談センター(各キャンパスの5つの相談室)の相談件数は延べ5576件で、過去最高となっています。COVID-19は、2023年5月8日に感染症法上、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行して現在はほぼ日常に戻った感がありますが、依然として相談ニーズは高いままで、全学レベルで質の高い学生に対する相談サービスを提供することが求められています。

コロナ禍をようやく超えた今、本機構が全学的な学生相談機能および障害学生支援機能を一層強化し、京都大学の全ての学生が心身とも健やかに充実した学生生活を送れる環境を提供できることを願っています。

学生総合支援機構 機構長 髙倉喜信