タイトル:支援補助学生 ver.1.0 (2020.2) コピーライト:HEAP 大学等において日常の支援や合理的配慮を提供するうえで、周囲の学生を支援者として活用することは一つの方法でしょう。一方で、これらの学生の支援者としての活用にあたって、どのようなことに留意すればよいのでしょうか。一連の流れからポイントをまとめました。 (※本Tipsは「大まかな流れ」「よくある質問」の構成になっています) <大まかな流れ> 1)検討 配置を予定する支援内容について、学生が従事するのが効果的かを検討する ・このような検討なしに学生を充てることは相応しくありません。 ・効果的な支援を行うために地域リソースの活用も併せて検討しましょう。リソースの活用方法も含めて、相談に応じてくれる事業所は多いです。 2)募集 支援補助学生の配置が相応しい場合、学生を募集する ・支援を行ううえで適当な人材像がある場合は、関係部局等に広報を依頼するとよいでしょう。 ・広く人材を求める場合は、大学WEBサイトや大学図書館等、多くの学生の目につくように既存の学内連絡方法の活用するとよいでしょう。 3)養成 支援内容に応じた継続的な養成を行う ・養成に関する専門的なノウハウが不足する場合は、近隣の大学や地域リソースと連携できるとよいでしょう。 ・障害学生本人に一部協力を依頼することで具体的かつ効果的な研修となる場合があります。 4)配置 養成した学生を配置する ・支援補助学生の専攻分野やスキルに合わせて配置できると支援がより効果的になります。 ・一部の支援補助学生に負担が集中しないように適切な配置を心掛けましょう。 5)モニタリング・フィードバック 定期的なモニタリングとフィードバックを行う ・支援が有効に機能しているのか支援補助学生は不安を感じやすいです。 →障害学生や講義担当教員からも状況を聞き取り、適切なフィードバックを行うとともに、生じている課題に対応しましょう。学生の配置が効果的ではないと考えられた場合は、再度地域リソースの利用を検討します。 <よくある質問> Q.はじめて支援補助学生を募集するにあたって、事務手続きに関するフォーマットなど参考になるものはありますか? A.大学コンソーシアム京都が収集し公開している「障がい学生支援に関する各種フォーマット」が、実務上必要な資料やフォーマットを網羅しており、参考になります(要登録)。大学の実情に合わせて調整すると効果的でしょう。 以下URL(大学コンソーシアム京都_各種フォーマット) http://www.consortium.or.jp/project/dss/dssformat Q.PCノートテイクの設定の方法や情報保障の方法について、技術面や研修コンテンツとして参考になる資料はありますか? A.情報保障に関しては、PEPNet-Japan(筑波技術大学)が発行している資料が参考になります。年に一度、シンポジウムを開催しており、聴覚障害学生支援に関する基礎講座や発展的な議論などがなされています。 情報保障に関しては、PEPNet-Japanが発行している資料が参考になります。 以下URL(PEPNet-Japan_成果物一覧) http://www.pepnet-j.org/web/modules/tinyd1/index.php?id=71&tmid=242#pcnotetake Q.身体的な介助が必要な学生に対して、その介助(食事介助やトイレ介助)を支援補助学生で行いたいと考えていますがよろしいでしょうか? A.食事介助やトイレ介助などは、障害学生の生命を維持するために必要な介助であり、非常に個別性の高いものです。そのため、専門的な講習を受けた支援者の配置や調整が相応しいでしょう。支援補助学生が講習を受けたとしても、ピアな関係性(学生同士)であるからこその課題もあります。障害学生の意向を確認することが必要です。 Q&A集【60】に関連質問あり 以下URL(Q&A_No60) https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/platform/wp-content/uploads/2019/10/QA_Q1-Q65_Part60.pdf Q.支援補助の活動は教育的な意味のある活動のため、本学ではボランティアとして取扱う予定ですがよろしいでしょうか? A.各大学によって、その位置づけ方はさまざまだと思います。ただし、合理的配慮の観点でみれば、法的義務あるいは努力義務である合理的配慮に善意に基づく“ボランティア”を配置することには違和感が残ります。支援者の持つ専門性を適切に評価することは、支援者の定着や質の高い安定した支援の提供にもつながります。 同じように級友等によるナチュラルサポート(自然発生的な互助)と合理的配慮はその目的を切り分ける必要があり、それぞれの位置づけや機能を正しく認識したうえで、学生の学ぶ権利を保証する必要があります。 Tips以上